尿のトラブル「頻尿、尿もれ」

2023年03月01日

利根中央病院
泌尿器科 科長
金子 裕生

年齢を重ねていくと、これまでに感じたことのない身体の不快な症状に悩まされることがあります。頻尿や尿もれ(尿失禁)もその一つ。デリケートな病気のため、病院へ足を運ぶことをためらい、ひとりで悩んでしまう場合もあります。

尿のトラブルは、骨盤を強化する体操や服薬などで改善が期待できます。まずは病院で相談し、不快な症状を改善させて、いきいきと毎日を過ごしましょう。

頻尿とは?

「さっきトイレに行ったばかりなのに、またトイレに行きたい」「夜中に何度もトイレに行く」という人は頻尿の可能性があります。

健康な人は、口から摂った飲み物や食べ物の水分が、尿として排泄されます。水分を多く摂ると、尿は増え、利尿作用のあるアルコールやコーヒー、一部のお薬でも尿は増えます。頻尿の定義は様々ありますが、正確な判定には、尿の日記、排尿記録が必要です。まずは、頻尿を引き起こしている原因を確かめましょう。

頻尿の原因

何かしらの疾患が、頻尿を引き起こしている場合があります。頻尿が症状として現れる疾患としては、過活動膀胱、膀胱炎、糖尿病、子宮筋腫、骨盤臓器脱、前立腺肥大症、前立腺炎など非常に多岐に渡ります。気になることがあれば、病院で診察を受けることが大切です。

尿もれ(尿失禁)とは?

「咳やくしゃみ、笑ったときに尿失禁してしまった」「急に尿意がきて、トイレまで我慢できずに尿失禁した」「いつもタラタラもれている」尿もれ(尿失禁)にはいろいろあります。

人間は、尿がたまると「おしっこがしたい」という信号が膀胱から脳に送られ、脳が「尿を出す」か「尿を我慢する」かを判断します。尿もれは、何らかの理由でこれらがうまく機能せず、自分の意志とは関係なく尿がもれてしまう状態です。

尿もれ(尿失禁)は4つのタイプ

尿失禁は4つのタイプに分けられ、それらが混ざっている場合もあります。それぞれのタイプにより治療法が異なります。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみをしたとき、笑ったとき、重いものを持ったときなど、お腹に圧力がかかったときに、尿が漏れるタイプです。尿道を締める役割を果たす、膀胱や尿道をハンモックのように支える骨盤底筋という筋肉が、ゆるんだり切れたりして起こります。治療は、服薬よりも、骨盤を強化する運動やダイエット(減量)のほうが効果的です。

切迫性尿失禁

突然の強い尿意でトイレまで我慢できずにもらしてしまうタイプです。先の腹圧性尿失禁に比べて多量の尿がもれることが多いです。脳と膀胱がうまく連携しないために起こります。このタイプは服薬により、症状の改善が期待できます。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

膀胱にたまった尿があふれ、少量ずつ漏れ出るタイプです。尿意をあまり感じず、尿の出口が狭くなることで起こります。このタイプは、服薬に加えて手術も有効です。

機能性尿失禁

おしっこをする機能自体に問題はなく、認知症や体の動きが悪くて尿もれするタイプです。トイレへ行くことを忘れてしまったり、トイレへ行きたくても人に伝えられずに尿もれします。トイレを近くに置いたり(ポータブルトイレ)、オムツが有効です。

利根中央病院の泌尿器科では、4月からは、月曜から金曜までへ外来診療を拡げます。4人の泌尿器科専門医が、手術治療を含めた、標準治療(現在利用できる最善の治療)を提供していきます。また当院での治療が難しい場合には、他の病院での治療を紹介します。お困りの症状や気になることがあれば、ご相談ください。

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