フレイルについて ―栄養・運動・社会参加が大切―

2018年10月01日

利根中央病院 リハビリテーション室
技士長
諸田 顕

今、日本人の平均寿命は年々伸びています。男性81歳女性87歳、それに伴い平均寿命と健康寿命の差が注目されてきています。平均寿命と健康寿命の間に男性で9年、女性で12年の格差があります。この格差を縮めて健康寿命を延ばすことが日本の課題であり、わたしたち利根保健生協の目標でもあります。健康長寿のために、今、その実践が求められているのが「フレイル」の予防です。

フレイルとは

フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置します。また、フレイルには3つの状態があります。一つ目は筋肉の減少など体にかかわること。二つ目はうつ状態や認知機能低下など心にかかわること。三つ目は閉じこもりや孤独に食事をするなど社会性にかかわることです。これら三つのフレイルに、家族や生協の職員が早く気付き対応することで、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らしたりできる可能性があります。(図1)

図1 
「旭化成ホームズ、健康寿命を伸ばす「フレイル予防」とは」より引用。
図1 
「旭化成ホームズ、健康寿命を伸ばす「フレイル予防」とは」より引用。

フレイルの放置は要介護状態を招く

フレイル状態になると、身体機能の低下や死亡率の上昇がみられます。それは、フレイルになるとストレスに弱い身体となり、ちょっとしたきっかけで要介護状態になりやすくなります。
そのため、健康な状態であれば何日か様子を見れば治る程度の風邪であっても、フレイル状態の人であれば肺炎になったり、体調が悪いことで転倒骨折してしまい寝たきりになったりということもあるのです。つまり小さな出来事をきっかけとして要介護状態になる危険性が高くなってしまいます。

予防のポイントは「栄養」「運動」「社会参加」

フレイル予防のために大切な3つのポイントは「栄養」「運動」「社会参加」です。この3つは互いに影響しあっています。最近の研究で、特に「社会参加の機会が低下すること」がフレイルの最初の入り口になりやすいことが分かってきています。

生協活動のすべてがフレイル予防に

この「栄養」「運動」「社会参加」を促すのは利根保健生活協同組合の班会そのものです。班会に出ることは「社会参加」、会場まで歩くことも「運動」、班会内容にも様々な運動があり転倒予防・認知症予防。食事をしながら楽しく過ごすことで、サルコペニア予防。「栄養」と「運動」で転ばない体つくり、サークル活動で転倒予防・うつ病の予防、生協のボランティア活動で認知症の予防、生協活動のすべてがフレイル予防につながります。
平均寿命が延びても健康寿命が延びなければ要介護状態や寝たきり状態が長く続いてしまいます。そのような状況で生涯を終えることを「ネンネンコロリ」という人もいます。(図2)
フレイルの取り組みを進めて健康寿命を延ばし「ピンピンコロリ」の人生になってほしいと思います。

図2
「足立優歯科」より引用。
図2
「足立優歯科」より引用。

指輪っかテストをしてみよう

ここまでで、皆さんは自分がフレイルかどうか心配するでしょう。そこで簡単なスクリーニング検査を紹介します。これまでに3つのフレイルの説明をしましたが栄養不足や筋肉減少することを別の呼び方でサルコペニアとも言います。このサルコペニアであるかどうかを大まかに調べる方法として指輪っかテストがあります。
両手の親指と人差し指で輪をつくり、自分のふくらはぎの最も太い部分を囲んでみて下さい(図3)。指の間に隙間の出来る人はサルコペニアの可能性があります。
フレイルが気になる方はインターネットで「フレイルチェック」を検索して自己評価をしてみて下さい。日本医療福祉生活協同組合連合会の雑誌comcomのバックナンバーにもフレイルチェックが掲載されています。
comcomを購読して健康づくりのヒントにしたり、利根保健生協の班会・ボランティア・機関誌配布をしたりしてフレイル予防してみませんか?

図3
「介護ポストセブン」より引用。
図3
「介護ポストセブン」より引用。

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