2023年06月01日
利根歯科診療所
歯科衛生士
山田春菜
お口の中のバイキン数は便座と同じくらいという話をきいたことがありますか?
そう考えるとお口の中は汚いというイメージが持てると思います。そのバイキン達を野放しにしておくと歯周病や虫歯はもちろん、誤嚥性肺炎・糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞・早産・低体重児出産などに関与するとも言われています。
バイキンの住み家
ではそんなにたくさんのバイキン達はお口の中のどこに住んでいるのでしょうか?
『お口の中をキレイにしましょう!』と言われたとき一番最初に思いつくのはやはり【歯ブラシで歯を磨く】だと思います。でもそれだけでは足りません。歯間ブラシや糸ようじ(フロス)を使って歯と歯の間のお掃除も必要です。
このようにバイキンは歯に付着しており歯をキレイにすれば大丈夫だと思われていました。そして少し前まではそれで正解でした。
しかし最近では歯を磨いただけではお口の中のバイキンは25%くらいしか落とせていないという事が分かってきました。残りの75%は舌や頬などのお口の中全体の粘膜に付着しているそうです。
清掃用具
さてドラッグストアにはいろんな種類の歯科用品が並んでいます。
昔と比べ、お口の中の清掃意識が高まっており、おそらく歯以外の粘膜等も清掃するという意識が普及してきたためだと思います。
しかし、良かれと思い購入したケア用品で粘膜を傷つけてしまったり、お口の乾燥を促してしまうなどのトラブルもあります。
利根歯科では口腔・咽頭ケア・リハで御活躍されている黒岩恭子先生が開発した【くるりーなシリーズ】をお勧めしています。
頬や唇の内側の粘膜や、上あご、舌などお口の中の汚れを除去する時に使用します。食べカスや痰を除去するのにもお勧めで介護を必要とする方のお口の中の清掃にも適しています。
お口の中が乾燥しやすい方は保湿剤と併用します。これを使うと清掃時の刺激が舌の筋肉や粘膜下にある筋肉のマッサージにもなります。【くるりーなシリーズ】は一本で清掃用具やマッサージ機にもなる優れものなのです。
お口のマッサージ
マッサージの話が出たのでお口の機能についても少しお話します。口は話す、呼吸する、食べる、笑うなど様々な機能に関わっています。口のまわりにはたくさんの筋肉があり上手く使えないと話せない、飲み込めないなどの支障が出てきます。
小さい子どもは口の機能が発達の途中です。【さかな】が【しゃかな】などいわゆる赤ちゃん言葉になってしまうのはこのためです。また高齢になると食べ物が飲み込みにくくなるというのは口の周りの筋力の低下が関係しています。子どもの場合は発育を促すため大人は予防のため、高齢の方はリハビリのためにマッサージが有効です。マッサージ以外にも手軽にできる運動【あいうべ体操】もお勧めです。利根保健生協機関紙の『利根の保健』でも時折お知らせしていますし、TVでも紹介されているので、ご存じの方も多いと思います。お口を動かすということが大切なので、笑顔を心がけ、おしゃべりをする、歌を歌う、よく咬んで味わって食べるなど、暮らしの中で口の機能をちょっとだけ思いやって使うことが良いと思います。
かかりつけ歯科医院を持ち定期検診をうけ自分では清掃できないところの清掃をしてもらうことも重要ですが、一番大切なことは日々のお手入れと口周りの使い方が適切に行えているかということです。必要になる清掃用具はひとりひとり違います。
利根歯科では、お口の清掃だけでなく、自分のお口の中に興味を持ち自分自身の癖や習慣など特徴を知って欲しいと考えています。そのためお口の機能に関連した検査が行えるように整備してきました。ここ最近では約1分でお口の中の菌数を調べることが出来る細菌カウンタを導入しました。是非、歯科医院で今の御自身の状態を知り、自分にあったお手入れや口周りの使い方が実践できるようになって頂けたらうれしいです。
お口の中を綺麗に保ち、美味しく食べたり、たくさん笑えるような素敵な生活を目指しましょう!!