脳卒中を予防するための十か条~日本脳卒中協会編~

2013年09月01日

利根中央病院
脳神経外科部長
河内 英行

脳卒中とは脳血管障害ともいわれ、脳の血管に何らかの問題が起こって、脳に障害をきたす病気です。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳内の血管が破裂する「脳出血」、脳表面の血管にできた動脈瘤が破裂する「くも膜下出血」の3つのタイプがあります。
脳卒中は、マヒ、歩行障害や言語障害などの後遺症が残ることが多く、「寝たきり」の最大の原因になっています。しかし、脳卒中は生活習慣を改善することや、生活習慣病を改善することで発症を予防できます。脳卒中を予防するために「脳卒中予防の十か条」をもとに、自分の体調や生活習慣を見直してみましょう。

脳卒中予防の十か条(日本脳卒中協会作成)
No. 内容
手始めに 高血圧から 治しましょう
糖尿病 放っておいたら 悔い残る
不整脈 見つかり次第 すぐ受診
予防には タバコを止める 意思を持て
アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
高すぎる コレステロールも 見逃すな
お食事の 塩分・脂肪 控えめに
体力に あった運動 続けよう
万病の 引き金になる 太りすぎ
脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
番外 お薬は 勝手にやめずに 相談を

①手始めに 高血圧から 治しましょう。

脳卒中は血圧の高い人に起こりやすく、高血圧になると、脳の血管に強い圧力がかかり、傷つきやすくなるため脳の血管が詰まったり、破れたりする危険性が高くなります。

②糖尿病 放っておいたら 悔い残る。

長期にわたる高血糖状態により全身の血管に動脈硬化をきたし、様々な合併症を引き起こします。糖尿病の人は糖尿病でない人の2~4倍も高い頻度で脳梗塞になるといわれています。

③不整脈 見つかり次第 すぐ受診

脈のリズムが乱れることを不整脈といいます。とくに心房細動は、左心房がけいれんするように収縮するため、血液がスムーズに流れずにうっ滞して、血栓ができやすくなります。この血栓が脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせると脳梗塞になります。このように心臓の病気が原因となって起こる脳梗塞を心原性脳梗塞といいます。

④予防には タバコを止める 意志を持て

タバコは「百害あって一利なし」。喫煙をすることによって、ガンや心臓病などさまざまな病気にかかるリスクが高くなります。喫煙により血液は濃くなり、血圧も上昇して動脈硬化が進み、脳卒中を起こしやすくなります。しかし、禁煙をすると、脳卒中の危険性は確実に下がります。タバコを吸う人は吸わない人よりも脳卒中になる危険性が高いのですが、脳卒中発症率は禁煙して2年で下がり始め、5年経てば吸わない人と同程度になります。

⑤アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒

適度にアルコールを飲む人は、全く飲まない人よりも脳卒中になる危険がやや低いといわれます。ただ適量を過ぎれば逆に体の毒になり、脳卒中の危険性が高まります。
日本人にとっての適量は、おおよそ日本酒なら1合、ビールなら500ml程度です。

⑥高すぎる コレステロールも 見逃すな

血中のコレステロールのうちLDL(悪玉)コレステロールが増えると、動脈硬化が進みやすくなります。一方、HDL(善玉)コレステロールは、血管についたLDLコレステロールを除去して動脈硬化が進まないように働きます。脳卒中を防ぐためには、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすことが必要です。

⑦お食事の 塩分・脂肪は 控えめに

脈のリズムが乱れることを不整脈といいます。とくに心房細動は、左心房がけいれんするように収縮するため、血液がスムーズに流れずにうっ滞して、血栓ができやすくなります。この血栓が脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせると脳梗塞になります。このように心臓の病気が原因となって起こる脳梗塞を心原性脳梗塞といいます。

⑧体力に あった運動 続けよう

運動習慣のある人は運動習慣のない人に比べて、脳卒中の発症リスクが約6割も低くなるという報告があります。

⑨万病の 引き金になる 太りすぎ

肥満は高血圧や糖尿病、高LDLコレステロール血症など、さまざまな生活習慣病の原因となります。肥満の解消は、脳卒中の予防にもかかせません。太り気味の人は食生活や運動不足を見直して、減量を目指しましょう。

⑩脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

脳卒中による命の危険を防ぎ、後遺症を軽くするには、早めの治療が第一です。
様子がおかしいと感じたら“顔・腕・言葉”を確かめましょう。まずは笑ってもらい、顔のゆがみを確認します。次に腕が正しく上がるか、さらに挙げた腕が落ちないかをチェックします。そして、うまくしゃべることができるかを調べます。こうした動作がスムーズにできない場合はすぐに119番に連絡してください。

番外 お薬は 勝手にやめずに 相談を

脳卒中予防のためには、治療を継続することが何よりも大切です。処方された薬を勝手にやめることは危険です。「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ!」と覚えましょう。

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