風邪の予防 ~やっぱり手洗いとうがいが重要~

2011年02月01日

利根中央病院
感染管理認定看護師
松井奈美

風邪と一口に言っても症状は微熱・頭痛・発熱・悪寒・鼻汁・咽頭痛・咳・食欲不振・下痢・嘔吐など様々なため総称して「かぜ症候群」と呼ばれています。

今の時期の風邪

風邪のウイルスは200種以上もあり、一生かかっても全種類の風邪に感染することはできないと言われています。同じ風邪でも季節や環境によってウイルスが違うため、症状も異なります。
冬風邪の原因となるのはRSウイルス、コロナウイルス、インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスやパラインフルエンザ1型・2型などで、11月から3月にかけて流行し、主な症状は鼻水、のどの痛み、咳などです。
こうした風邪症候群の原因は、わずかに細菌などによるものもありますが、約8~9割はウイルスです。しかも、200種以上も確認されているため、例えば今日かかった風邪が、どのウイルスによるものかを特定することは困難です。また、ご存知の人も多いでしょうが、インフルエンザなど特殊なものを除いて、ウイルス自体を退治する方法や薬はありません。インフルエンザは発症して2日以内なら効果のある薬がありますが、抗生物質はウイルスに効くわけではありません。風邪で薬を飲むなら、症状に合わせて咳止めや解熱剤などになります。

風邪の原因

風邪をひいている人が一度くしゃみをすると、なんと周囲に10万個もの飛沫が飛び散り、その中の一部は、空気中に三十分も浮かんで漂っています。この飛沫には風邪のウイルスが含まれ、別の人の体内に侵入することで新たな風邪の患者を誕生させてしまうことになります。
特に今の時期にはご存知のインフルエンザウイルスです。そのウイルスが好きな環境が「乾燥」です。さらに人間の側にとって都合が悪いことに、異物の侵入を防ぐ第一の門「のど」が乾燥すると、異物(ウイルス)を排除する働きが弱まってしまうのです。
しかしこうした外的な原因(ウイルスの流行や、寒さ、乾燥)以上にカギとなるのが、今の自分自身の体力や体調、免疫力です。寒くなる12月に入り、仕事が忙しかったり、忘年会が続くなど、多忙になると風邪をひくことが多くなりますが、それはウイルスが活発になると共に、生活管理がおろそかになったためではないでしょうか?

風邪の予防に

風邪のウイルスを体内に入れないように頑張っているのが喉や鼻などの粘膜です。その喉や鼻などの粘膜が第一関門となり、侵入をブロックしています。しかし、乾燥や、暴飲暴食、栄養の偏りなどで粘膜が弱ると、ブロック機能が弱まり、風邪の原因物質を体内に侵入させてしまいます。鼻水や喉の痛みといった風邪の代表的な症状は、粘膜が病原体と闘っている証拠です。風邪の予防対策は、原因物質を鼻や口の中に侵入させない、そして元気な粘膜を保つことから始まります。

重要なのは「手洗いとうがい」
外から帰ったら必ずうがいと手洗いをすること。目に見えない飛沫粒子(ウイルス)が手につき、その手で顔や口を触って風邪に感染することは意外と多いです。手を洗って清潔に保つことは、風邪の予防に有効です。
生活習慣の改善
暴飲暴食は避け、バランスの取れた食事、十分な休息と睡眠を心がけましょう。また喫煙や飲酒を避けることも必要です。
部屋の湿度
風邪のウイルスは低温と乾燥の環境下で急激に増殖するものです。暖房が普及した現在、冬に風邪が流行るのは、寒さのせいよりも空気の乾燥によるところが大きいのです。粘膜を乾燥させないため、室内を適度な湿度(約50%)に保つこと。加湿器などを利用したり、換気を適宜行うなどの工夫が必要です。
マスクの使用
ウイルスは、ごく小さいものなので、マスクの繊維をラクに通りすぎることができます。それでもウイルスの侵入を約3割減らすことができます。既にかかってしまっている人の場合、せきやくしゃみで2~3メートル先まで10~200万個ものウイルスをまき散らすことになるので、咳エチケットとして使っていただきたいと思います。

最後に

風邪はひどくなると肺炎や中耳炎、脳症など、命に関わる合併症を引き起こします。「たかが風邪」とあなどるなかれ!風邪は早くにしっかり治しましょう。

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