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健康情報

高齢者に増えてきている目の病気  〜 加齢黄斑変性 〜

2015年2月1日

利根中央病院 眼科

医長
橋 宙


  加齢黄斑変性は、その名の通り加齢が大きく関わる目の病気ですが、近年の高齢化、食習慣の欧米化によって増加傾向にあり、50歳以上では、80人に一人程度の発症率といわれています。現在日本人の失明原因としては、緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症に次いで第4位となっています(アメリカでは1位)。2014年9月に世界初のiPS細胞の移植手術がこの病気に対して行われたこともあり、最近はテレビなどでもしばしばとりあげられるようになってきました。


ものが見えるしくみ


  瞳孔から入ってきた光は「水晶体」で屈折し「硝子体」を通過して「網膜」に像を結びます。その情報は視神経を通じて脳に伝えられ映像として認識されます。眼の構造をカメラに例えると、水晶体はレンズ、網膜はフィルムの働きをしています。

網膜の中でも「黄斑」というところは網膜の中心部に存在し、ものを見るための役割を担う細胞が密集した重要な部分です。

 


加齢黄斑変性の症状


  網膜の奥には脈絡膜という血管が豊富な組織があり、網膜に栄養を送っています。網膜と脈絡膜の間を仕切っている構造が加齢や喫煙、偏った食習慣などにより弱くなり、病的な血管(脈絡膜新生血管)が網膜の下にのびていきます。この新生血管は正常の血管と比べてもろいため、血液中の水分(滲出液)が漏れて黄斑部にむくみを起こしたり容易に出血をきたしたりする等し、黄斑の機能を障害します(図1)。

 私たちは普段、視野の中心でもの見ていますが、網膜の中心部である黄斑が障害を受けてしまうと、見ようとするところが暗く欠けてしまう、ぼやける、ゆがむといった症状が現れます。進行するとさらに大きな出血をきたし、中心部だけではなく全体的に見えなくなってしまうこともあります。両眼で見ていると、片方の眼の異常に気づかずに発見が遅れてしまうこともあり注意が必要です。




図1 目の構造と黄斑変性

ノバルティスファーマ社HP「加齢黄斑変性ドットコム」より

http://www.kareiouhan.com/

 

治療について


  抗VEGF療法といって、眼の中に薬剤を注射する治療法が主流となっています。VEGF(血管内皮増殖因子)という物質は病的な血管である新生血管を成長させ、血管から水分を漏れやすくする働きがありますが、これを抑制する薬を眼球内に投与します。通常、はじめに一ヶ月間隔で3回投与し、その後は病状に応じて追加投与を行っていきます。

 利根中央病院でも多くの患者さんにこの治療を行っております。眼に注射というと怖い、痛いというイメージをもたれますが実際は点眼麻酔がよく効きますし使用する針も非常に細いため、刺入時に痛みを感じることはありません。安全性も非常に高く、当院においては大きな副作用や合併症は発生していません。

 

予防はバランスのいい食事から


  2001年と2013年にアメリカで加齢性の眼疾患と栄養素に関する大規模な研究が行われ、緑黄色野菜、穀類、魚介類に多く含まれている亜鉛、ビタミンC・E、ルテイン・ゼアキサンチン、ω-3多価不飽和脂肪酸を投与したグループでは黄斑変性の発症率が低下したという結果が得られました。日常的にバランスの良い食事を摂取することが重要です。専用のサプリメントも販売されています。

 数年前までは有効な治療法が確立しておらず、一度発症してしまうと高度の視力障害をきたしてしまっていましたが、抗VEGF療法の登場によって視力の改善、維持ができるようになってきました。しかし、薬剤の費用は非常に高額である上、繰り返しの投与が必要となるため経済的な負担が大きくなってしまうのが問題となっています。そのため発症予防が非常に重要です。前述のように喫煙は危険因子であることが多くの研究で明らかにされていますので、禁煙は必須です。

 早期発見も重要です。片目ずつアムスラーチャート(図2)の中心の黒い点を見てください。点の近くの格子が欠けたり、ゆがんで見える場合は早めに眼科を受診してください。

 



図2 アムスラーチャート

                                   @30cm離れ

                                   A眼鏡をかけたまま片目で中心点を見た際に、異常があれば眼科の受診を。