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健康情報

加齢だけじゃない筋肉減少 〜 サルコペニアを知ろう 〜

2014年9月1日

利根中央病院
リハビリテーション科
言語聴覚士
原澤陽二

  近年、健康番組などでサルコペニアという言葉を目にするようになりました。サルコは「肉・筋肉」、ペニアは「減少・消失」を意味するギリシア語で、日本語では筋肉減少症や骨格筋減少症などと訳されます。

  高齢化が進む日本にとってサルコペニアは深刻な病態です。例えば四肢体幹の筋力にサルコペニアが進めば歩くことや起き上がることが困難となり、寝たきりとなってしまいます。また食物を飲み込むための筋肉にサルコペニアが進めば嚥下障害を引き起こし、肺炎の原因にもなります。


サルコペニアって何?

 

 

  狭定義では加齢に伴う筋肉量の低下を指し、広義では加齢を含め廃用症候群や低栄養などの原因による筋肉量と筋力の低下を意味します。筋肉量は20歳代後半から30 歳ごろがピークと言われておりその後は加齢とともに低下します。70歳以下の高齢者の約二割、80歳以上では半数以上に、サルコペニアを認められるという報告があります。

原因@ 加齢

  サルコペニアには加齢も含め、4つの原因があります(表)。加齢のみが原因の場合を原発性サルコペニア(=狭義のサルコペニア)といいます。高齢者においては、加齢により筋肉を合成する反応と筋分解を抑制する反応が減弱しているためにサルコペニアが起こると考えられています。

 

原因A 活動不足

  二次性サルコペニアには活動、栄養、疾病が含まれます。病院に入院する患者さんには、複数の要因による二次性サルコペニアが多く認められます。活動が原因に関連したサルコペニアは、常にベッド上で安静にしている、日常的にあまり動くことがない生活スタイルなどによって生じます。廃用症候群、廃用性筋萎縮はここに含まれます。

 

原因B 栄養不足

  栄養に関連したサルコペニアは、食事量が少なかった場合や、消化管の疾患、吸収不良、薬剤使用などによりエネルギーと蛋白質の摂取量不足によって生じます。思春期の若者に見られる神経性食思不振症や不適切な栄養管理による飢餓もここに含まれます。

原因C 疾患

  疾患に関連したサルコペニアの原因には、侵襲、悪液質、神経筋疾患(多発性筋炎、筋萎縮性側索硬化症など)があります。侵襲とは、手術、外傷、骨折、感染症、熱傷などを指し、高度の侵襲では筋肉量が1日につき1 kg減少するといわれています。また悪液質は、がんだけでなく、感染症(結核、HIVなど)、膠原病、慢性的な臓器不全、肝不全などによって起こります。

 

 

 

サルコペニアの悪循環

 

  さまざまな理由で生じたサルコペニアにより転倒や転落の機会が増加します。その結果、骨折すれば運動が制限されサルコペニアがいっそう進行します(図)。また嚥下障害などによる食事量の低下があれば低栄養の進行、蛋白合成の障害を来たし、サルコペニアはさらに進行します。低栄養であれば病気や外傷などで蛋白必要量が増加した場合の対応能が低下します。そのため病的状態からの回復が遅延し、サルコペニアはますます進行するのです。

図 サルコペニアの悪循環

細山浩「今こそ『転ばぬ先』の筋力作り!」より。

URL: http://www.yuwastyle.com/cat/backnumber/tokusyu/tokusyu12.html

原因に見合った治療を

 

  

  原発性サルコペニアの場合、筋力トレーニングが最も有効です。活動に関連したサルコペニアでは、不要な安静や禁食を避け、少しでも早く運動や適切な食事を行うことが大切です。病気になると「とりあえず安静」と思われがちですが医学的にみて問題なければ早期にリハビリテーションを行い寝たきりになることは避けなければいけません。

  栄養に関連したサルコペニアの治療に必要なのは、適切な栄養管理です。筋肉量が少ないからといって栄養を考慮せず筋力トレーニングを行っても、筋肉量は減少する可能性が高いのです。

  疾患に関連したサルコペニアにおいては、まず疾患の治療が必要です。同時に適切な栄養管理とリハビリテーションを併用し筋力の回復を図ります。

  活動や疾患が原因の場合、専門的な対応が必要となることがありますが、常日頃から運動や食事を意識することで原発性、栄養が原因のサルコペニアを予防し健康な毎日を過ごしていきましょう。

参考:若林秀隆『リハビリテーション栄養ハンドブック 』(医歯薬出版、2010 、pp.4〜8)



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