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蜂刺されのはなし 〜全身症状に注意〜

利根中央病院
皮膚科医長
 曽我部陽子

  すっかり暖かくなり、過ごしやすい季節ですね。動物や植物にとっても過ごしやすい時期で、これから生き物の動きも活発になってきます。皮膚科を受診する方の中にも、虫刺されの患者さんが増えるシーズンです。今回は虫刺されの中でも、時に命に関わることのある、蜂刺されについてお話します

蜂刺されは怖い?

 蜂刺されは怖いもの、と皆さんイメージしていますね。しかし蜂は昆虫の一種ですから、刺されて生じるのは虫刺されの症状です。つまり刺されたところが赤く腫れて、痒みや痛みを生じます。この刺された部分だけの症状(局所症状)であれば、大きな心配はありません。 反対に刺されたところ以外の症状(全身症状)が出た場合には注意が必要で、これが「怖い蜂刺され」です。

    
刺されたらまず冷やす

 まずは刺された部分を、濡れタオルやアイスノンで冷やしましょう。腫れなどの症状がひどい場合、複数か所刺された場合、さらに刺された部分がいつもひどく腫れるという人は、病院を受診しましょう。炎症を抑えるステロイドの塗り薬や、必要に応じて腫れや痒み・痛みを抑えるような飲み薬などで治療します。出来ればひどく腫れる前に治療をしたほうが、治療期間が短く、痕になることも少ないです。もちろん、どうしたらいいかわからず心配な人も、受診して下さい。

ショック症状とは

 ショック症状は、通常は刺された経験のある人の体内で蜂アレルギー抗体が作られて、2回目以降に刺されると蜂の毒と体内の抗体が反応して起こります。様々な形で出現しますが、多くが刺されて15分から30分以内に、悪寒、喉の詰まるような苦しい感じ、息苦しさ、気分不快、頭痛、吐き気、口のしびれや渇き、めまい、全身の痒みやじんま疹、全身の潮紅(赤くなること)、腹痛などが生じます。進行すると血圧が下がったり、喉が詰まって呼吸が出来なくなったりして、最悪の場合には命を落とすことがあります。      

    命に関わるようなショック症状はごく稀ですが、刺された部分以外の症状が出現するような場合には、出来るだけ早く点滴の受けられる医療機関を受診しましょう。その際に自分で運転をすると、運転中に症状が進み事故などを起こすと困りますので、どなたか別の人に乗せてきてもらって下さい。
刺されないために

 自分で注意できるのは、以下のようなことです。いずれも、蜂が黒い色、匂いのあるもの、動くものに対して攻撃的になる性質からの注意事項です。

   
白っぽい色の衣服を着て、帽子をかぶる。衣服は長袖がよい。
蜂がいそうなところで、ジュースを飲んだり果物を食べたりしない
香水やヘアートニックなどをあまりつけないようにする
蜂の巣があるところに近づかない。また巣をつついたり、石を投げたり、動かしたりなどの刺激をしない
近づいてきた蜂を手で払ったりしない
車や家の中に蜂が入ってきたら、窓や戸を開けて蜂が出て行くのを待つ
洗濯物に蜂が付着して、取り込んだときに人を刺すことがあるので、周囲に蜂の巣があったり、飛んでいる姿をよく見る場合には、取り込むときに点検するなど注意する
エピペンの携帯を

 蜂に刺されて一度でも全身症状の出た既往がある方や、林業などに従事する方で血液検査で蜂アレルギー抗体が陽性の場合など、重症なアレルギー反応を起こす恐れのある人は、あらかじめ医療機関でアドレナリンの自己注射液(エピペン?)の処方を受け、携帯することをお勧めしています。ひどいアレルギー反応が出始めたときに使用することで、病院にたどり着くまでの間に状態が悪化することを遅らせる薬です。保険がきかないこと、薬剤の期限が皆さんの手元に届いてから1年程と短く、再処方を受ける必要があることなど、デメリットもありますが、蜂に刺されるような場所では病院までの到着に時間がかかりますから、皆さんの命を守るためにも、是非とも携帯して頂きたいものです。

おわりに

 日本で蜂刺されで亡くなる方は年間20人程ですが、蜂に刺されないように注意することや、エピペンを携帯することで、そのような方を一人でも少なくしたいと思っています。