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骨折予防薬の副作用で顎の骨が腐るって本当?

2010年12月1日

 

利根歯科診療所
歯科医師
坂田龍義

 今月は、ビスホスホネート系薬剤を内服または注射治療している患者さんに発生する特徴的な顎骨壊死(あごの骨がくさる)に関してのお話です。利根歯科でもこの1年間に2例の症例を経験しています。いったん発症すれば症状は進行性で、極めて難治性です。近年日本国内では、骨折予防などの目的で、適切なリスク開示もないまま関連各科より同薬が大量に投与されています。それに伴って近い将来にこの疾患の爆発的増大が懸念されています。
ビスホスホネート系薬剤とはどういう薬?

 この薬剤は骨の吸収を抑制する事により骨密度を高め、骨折を予防する臨床的にとても優れた薬剤です。国内においては、主に飲み薬が骨粗髭症に、注射用製剤が癌の骨転移等に使用されています。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2006年度版)」のなかで、ビスホスホネート系薬剤は全項目において推奨Aの極めて優れた薬剤です。

 さらに海外の臨床試験において閉経後骨粗鬆症において40%以上、気管支喘息などでステロイドを服用する結果生じるステロイド性骨粗鬆症においては70%以上骨折リスクを低下させる事が報告されています。 

日本における骨粗鬆症による大腿骨頸部骨折の発症頻度は上昇の一途をたどる一方ですが、欧米・北欧・カナダにおいては大腿骨頸部骨折の発症頻度が低下傾向を示しています。この要因として、特にビスホスホネート系薬剤等の骨吸収を抑制する薬剤の普及が関与している可能性が考えられます。

 H19年度に介護サービスを受けた約500万人のうち、約9%の人が転倒・骨折が原因で要介護となっており、大腿骨頸部骨折を起こすと新たに23%の高齢者が寝たきりになっています。

 このような視点から、骨粗鬆症の治療を考えるとき、いかに骨折を予防できるかという点を重要視せざるを得ませんし、ビスホスホネート系薬剤の投与は、要介護・介護の両立場から、医療費の面、さらには医師・患者からも重要視されています。
                  
どれくらいの頻度で顎の骨が腐るの?

  〈あごの骨がくさる〉副作用の発生頻度は現在までの文献を総合的に考えると、注射剤が1%、飲み薬の場合が0.1%の頻度(日本口腔外科学会等)ですが調査母体に問題を残す報告が多く、直近の調査では各々10倍の頻度(米国口腔顎顔面外科学会ポジションペーパー(2007年)、米国歯科医師会雑誌:2009年1月号)になるという報告も見られます。利根歯科でもこの1年間に2例の治療経験があり、腐敗した顎骨組織をかなりの大手術で除去したりと大変です。

なぜ顎の骨のみ腐るのですか?

  発症メカニズムと「なぜあごの骨にのみ起こるのか?」その原因もいまだ不明です。あごの骨は他の部位の骨より血行に富み、骨代謝が高いため、ビスホスホネート系薬剤が高濃度になりやすく、無細胞・無血管骨になりやすいこと、かむ力により歯の周囲の骨に微少骨折を起こしやすいこと、薄い歯肉粘膜のため損傷や穿孔をきたしやすく、感染しやすいことなどが原因とされています。

厚生労働省の対応は?

今年、2010年6月に厚生労働省は以下の通達を出しています。

■本剤の投与にあたっては、患者に対し適切な歯科検査を受け、必要に応じて抜歯等の顎骨に対する侵襲的 な歯科処置を投与前に済ませるよう指示する。

■本剤投与中は、歯科において口腔内管理を定期的に受けるとともに、抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科 処置はできる限り避けるよう指示すること。

■口腔内を清潔に保つことや歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知するなど、患者に十分な説明を行い 異常が認められた場合には、直ちに歯科・歯科口腔外科に受診するよう注意すること。
組合員の皆様へ

■心あたりの方は、担当医師に報告し、服薬情報を添えた紹介状を持参の上、かかりつけの歯科医院に受診 しましょう。

■現在、歯科医院に通院中の方は、心あたりのお薬の情報を速やかに担当歯科医師に報告しましょう。

■上記のお薬に関わらず、骨粗鬆症等の薬を服用中の方は、3ヶ月に一度、担当歯科医師よりお口の中の診 察を受けましょう。