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かかりつけ医とは――日米の医療の違い――

2018年2月1日

利根中央診療所 所長

小林 正人

 日本では、プライマリ・ケア(簡単に言うと「身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療」)は昔から開業医が担ってきました。しかし、開業のための特別な訓練はなく経験を積み上げて開業する場合がほとんどでした。
 一方米国では、最初から開業を目的に家庭医の研修を3年間行い、その後すぐに開業します。家庭医は内科・外科と並ぶ専門科であり、三年間の研修後専門医試験に合格する必要があります。私は日米で臨床医として働き、日米の医療の違いを体験しました。その体験を基に、日米のかかりつけ医について書こうと思います。

米国の家庭医

 米国の医療の特徴は、日本のような国民皆保険ではないことにあります。医療保険は自分で買うのです。日本で生命保険を買うのに似ていますね。様々な保険の中から、保険料や保険のカバーする範囲などを考慮して保険を買っているのです。保険を買う金銭的な余裕がなければ無保険となります。米国では“自由”が尊重され、医療保険に入らないのも自由だと主張する人々もいます。驚くことに、米国では無保険者が約5000万人もいるそうです。みなさんが聞いたことがある、オバマケア(医療保険制度改革)は、無保険者を無くす目的で制定されたものです。米国で医療保険を買うと保険会社から家庭医(かかりつけ医)のリストが送られてきます。その中から、自分の主治医を1人選ぶのです。それ以外の医師にかかることは、原則的に出来ません。専門医にかかりたい時も主治医である家庭医の紹介状が必要になります。このように、米国では簡単には医者にかかれない仕組みとなっているのです。ですから、米国の家庭医は、予防医学に非常に力を入れています。
 例えば、肺がんの早期発見のために日本では、胸部レントゲンをとりますが、米国ではエビデンス(根拠)がないとの認識で行われていません。それよりは禁煙指導に力を入れるという考え方です。またかけた費用に対してどれくらい効果があるかを重視していることも特徴です。同じ効果であれば、必ず安い薬を使う。ワクチン接種も積極的に行っている。家庭医は、分娩もするし、小児も見るし、小外科も行う。このように、家庭医は非常にカバーする範囲が 広いのです。
 米国では家庭医を標榜するためには、7年毎に試験を受け合格し続けなければなりません。引退するまで勉強を続ける必要があるのです。

日本のかかりつけ医

 日本の医療の特徴は、国民皆保険であることです。日本では国民に医療を受ける機会を“平等”に保障することを重視し、原則としてすべての国民が公的医療保険に加入します。もう一つの特徴は、どこでも希望の医療機関を選んで受診できる(フリーアクセス)ことです。
 例えば、昨日は大学病院を受診、本日は診療所を受診、明日は県立病院を受診しても構いません。しかし、以前よりフリーアクセスによる医療の無駄が指摘されてきました。日本のかかりつけ医というのは専門科ではありません。何科の医者でもかかりつけ医になりうる。一方で、家庭医のプログラムを持ち、日本産の家庭医を教育している施設も増えており今後に期待が持てます。
 日本の医療の一つの問題は、専門でなくても医師であれば何科を標榜しても良いことにあります。内科医が小児科を標榜しても良いし、その逆も良いのです。開業医が色々専門を標榜していますが、必ずしも全部が専門であるとは限りません。患者からすればこれほど分かりにくいことはない。今後解決すべき問題だと私は考えています。
 日本では、基本的に開業は一人で行います。そのため開業医は、夜間は患者からの連絡を受けない事が多いです。米国では、3〜5人でグループを作り開業します。夜間の仕事が分担出来るので、患者は夜間でも開業医と電話で相談することができます。日本でも米国のような仕組みを取り入れる必要があると思います。

かかりつけ医としての利根中央診療所
 利根中央診療所が開院して約3ヶ月が過ぎました。地域でも認知度が高まり患者も徐々に増えてきています。医師は私と長坂医師の二人体制で診療しています。二人とも内科が専門で、小児科は標榜していますが専門ではありません。5歳以上で症状の軽い小児の初期治療のみ行なっています。小児で明らかに重症な患者や他院で治療してもよくならないような患者は専門医に紹介しています。内科系の患者は基本的に全て診察し、必要があれば利根中央病院に紹介しています。“来る者は拒まず去る者は追わず”のことわざがあります。診療所では、どちらに対しても適切な対処ができるように心がけています。患者が他院にかかりたい希望があれば、患者の思いに寄り添い紹介状を書いています。
 利根沼田地区では在宅医療を行う医師が非常に少ないため、在宅医療に最も力を入れています。利根中央病院とは、電子カルテで結ばれており連携が非常にうまく行っています。利根沼田地区のかかりつけ医として、地域の皆様から信頼される様に、今後も努力して行きます。