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命を守る口腔ケア〜病棟歯科衛生士の取り組み〜

平成29年8月1日

利根中央病院 歯科衛生士

橋佐知子

 みなさんの口の中は健康ですか?
 口は身体の入り口。栄養となる食べ物を取り込む器官です。食べることは生きることに直結しています。その第一関門が汚れていたり、機能していなかったらどうでしょうか。身体は健康!とは言えませんよね。口のケアは身体のケアの第一歩なのです。歯科衛生士は口のケア(口腔ケア)で、“その方らしく”身も心も豊かな生活が送れるように、お手伝いをしています。今回は、「命を守る口腔ケア」についてご紹介します。

口の汚れが肺炎の原因に

 図1をご覧ください。脳卒中で入院2日目の患者様の口腔内です。


図1

 このように口の中が乾いてカピカピの状態では、話すことも食べることも困難です。そして一番怖いのは、この口の中で増えた細菌を痰などと一緒に誤嚥(本来空気が入る気管に誤ってはいること)すると誤嚥性肺炎になってしまうことです。(図2)
 肺炎は日本人の死因第三位なのはご存知ですか?肺炎で亡くなる方の約95%が65歳以上の高齢者であり、さらに、この高齢者の肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であると報告されています。永六輔さんもこの誤嚥性肺炎で亡くなりました。
 この誤嚥性肺炎は、口の中が不衛生であったり飲み込む機能が衰えてくると引き起こされる可能性が高くなります。そうならないためには、早期からの口腔ケアが必要になるのです。健康な方でも激しく咳き込む、濃い痰が多くなる、熱が出やすくなるといった症状が出る場合は、要注意です。

図2

★早期口腔ケアで命を守る!

 先ほどの患者様に口腔ケアをしました。(図3)

図3

 一度の口腔ケアでこれだけ変化します。カピカピだった粘膜や舌が軟らかくなってきました。だ液も出て潤い始めてきています。口腔ケアは単に口の中を綺麗にするだけではありません。その方の本来持っている口の力を引き出せるのです。そして、気持ちのよいケアを心掛けています。乾燥している方には、専用のブラシや保湿剤(だ液の代わりとなるジェル)を使用し、だ液が出る部分を刺激するなどその方の状態に合わせてケアを実践しています。

食べるためのリハビリ

 身体を動かさないと手足が弱るように、口を使わないことで、口周りの筋肉が衰えてきてしまいます。そうすると、入れ歯が合わなくなったり、上手く口から食べることが出来なくなってしまいます。そのような場合は、口のリハビリが必要です。口のリハビリは、食べる・飲み込むなどの訓練を担う言語聴覚士と連携して行い、口周囲の筋肉をほぐすために、口の中からマッサージを行っています。
 健康な人でも良く笑う、よく噛むなど口を動かすことを意識することで予防につながります。

脳にも効く口腔ケア

 口の清掃や訓練をすることで口の中から刺激が入ります。そうすると、その刺激が脳にも伝わり寝たきりや認知症予防につながるという研究結果もあります。その他には良く噛むことも有効です。

口腔問題にチームで取り組む

 患者様は様々な病気を抱えています。このため口腔ケアの分野でも各職種がお互いの専門性を生かし、その患者様に合ったケアを行えるようにチーム医療に取り組んでいます。(図4)

@ OCT(オーラルケアチーム)
 このチームは利根歯科診療所と連携し、共に活動しています。
毎週金曜日に病棟を回診し、効果的に口腔ケアが行えるように必要物品や手順、その患者様に合った食事形態などを検討しています。

A 口腔対策チーム
 がん治療を円滑に進めるために、お口の中をサポートすることを目的としています。この取り組みは、院内活動のみならず、沼田利根歯科医師会の協力のもと地域の歯科医院と病院とが連携して対応にあたっています。

図4

健康の鍵は“口”にあり

 これまで紹介した取り組み以外にも糖尿病教室や妊婦への歯科指導なども行っています。このように病院では様々な分野で歯科との関わりが必要とされ入院直後から口を守る体制を整えています。
 私たち職員の夢は、生涯おいしく食事を味わい、自分らしく生活し、少しでも健康寿命を延ばすことです。そのためには元気な時からの健口習慣の実践が大切です。最近、歯科受診をされていない方は、歯科検診をお勧めします。人生を楽しむ為にもぜひ、かかりつけ医をもって今日から口の健康・身体の健康を見直してみましょう。
 入院時、外来受診時に口のことで何かお困りの際はお気軽に声を掛けて下さい。