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「口のゆるみは体のゆるみ」〜お口のフレイル予防〜

平成29年6月1日

利根歯科診療所 歯科衛生士

志賀 聡子

 昨年は要介護者のお口のフレイルとそのケアについてとりあげました。それらの問題の対策は重症化した方々だけのものではなく、健康なうちから起きているささいな変化を見逃さない事が大切です。今回は「舌の働きと鼻呼吸」の関わりを知っていただき、お口の健康体操に活かして継続してもらいたいと思います。
※フレイル 加齢とともに筋力や気力が低下し、虚弱になること

呼吸を整える舌の力

 

図1

 いま皆さんのお口のなかで舌の先は図@で示したどこにありますか? 正解は図の右で示した位置で、舌の動きで例えると舌打ちをする時に最初に触れる位置です。口の中で大きな容量を占める舌は筋肉のかたまりです。舌には咀嚼・味わい・飲み込み・発音・表情と、実に様々な役割がありますが、「鼻呼吸」を支える縁の下の力持ちでもあるのです。
 舌が適切な位置にあると、くちびるは自然な状態で閉じ、舌は上あごにぴったりとくっついています。舌は血流がさかんで非常に温かく、その温度で上あごから鼻腔を温めているのです。寒い季節に口から外気を吸い込むと、冷気でむせてしまったなんてことはありませんか? 鼻から呼吸すると外気が零下でも空気がのどを通る時には約三十度まで温められているのです。そして鼻腔では鼻汁がなんと1日1リットルも分泌されていて、ここを空気が通ることで加湿までされているのです。(図A)

 

図2


 呼吸が舌によって整うと、どんなに高価なマスクでも適わないこの高機能な加温と加湿の鼻呼吸システムが細菌・ウイルス・乾燥から皆さんの体を守ってくれるのです。

口が病の入り口に

 逆に図@の左にあるように舌が下がっている状態で舌の力をだらりと抜いてみてください。だんだん舌の重さに耐えきれずに口を閉じていられなくなりますね。この「低位舌」の状態からさらにお口がポカンと開いているのが常になると口呼吸になってしまい、本来体がもつ呼吸のための「防御機構」=鼻呼吸が崩れて口はカラカラになり「病の入り口」になってしまいます。
 お口の潤いは菌や乾燥に対抗する大切な守りの要です。口を潤す唾液は菌や汚れを流すだけでなく、免疫機能も備えていて日々静かに戦ってくれています。口腔ケアでも特に重要なのが保湿なのはそのためです。また、鼻呼吸の方が口呼吸よりも全身へ血液と酸素をしっかり行き渡らせることがわかっています。口でする呼吸は一見すると楽ですが呼吸は速く浅くなり、循環も悪くなります。血液が十分な酸素を届けられずに代謝も悪くなり、全身の免疫機能も落ちてきます。
 口のゆるみが体の代謝や免疫機能もゆるめさせ、結果として病気を招きやすくなる理由です。

 

どこでもだれでも健康体操

 利根歯科診療所が全国の医療生協と協同して「あいうべ体操」を広め始めて約四年が経ちます。もうやっているよ、という方もたくさんいらっしゃいますが舌を正しい位置に引き上げそれを維持するために色んな体操があります。写真@は舌の筋肉を動かして口のまわりを中からのばす体操です。口元のしわ対策にも有効ですから美容面を気にする方にもうってつけです。美人は鼻呼吸から。舌と顔の筋肉をたくさん動かして、健康も美容も高めましょう!

 

写真1


  さらに楽しくおいしく、仲間を作って口のエクササイズをするために利根歯科では「オランピック」を取り入れています。「オリンピック」と「オーラル」を合わせた造語で石巻市雄勝の歯科医師・河瀬総一郎先生が考案した、口の周りの筋肉と食べ物を使ったレクリエーションです。(写真A)

 

写真2


 パインアメ(中心に穴が開いたフエラムネなどでもよい)にタコ糸を通して、歯を使わずにくちびるの力で相手と綱引きをする「パインアメ綱引き」や、鼻の下に小さく切った海苔を貼って舌を伸ばして海苔をはがす速さを競う「カトちゃんペロッ」など、考案しています。このレクリエーションのよさは毎日の健康体操で鍛えた舌と口のちからの見せどころなのと、競技のたびに笑い(ほとんど爆笑)がつきものなのです。ぜひ皆さんの班や支部でやってみませんか?