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更年期の悩み〜早めにご相談を〜

平成29年4月1日

利根中央病院 産婦人科部長

古川 佳容子

 更年期の女性は、心身に何らかの症状があらわれる方もいます。今回は、更年期障害の原因や症状、その治療法などを紹介します。一人で悩まずに私たち産婦人科医にご相談ください。

更年期とは

 閉経とは卵巣の活動性が自然に次第に低下し、月経が永久に停止することをいい、一般的には1年以上月経がないことを閉経といいます。
 日本人の閉経の平均年齢は、約50歳ですが、個人差が大きく、早い人で40歳台前半(早発閉経)、遅い人で50歳台後半に閉経を迎えます。
 閉経前後の5年間を更年期と呼び、この期間に現れる様々な症状の中で、他の病気を伴わないもの(うつ病、甲状腺疾患等)を更年期症状と呼び、その中でも症状が重く、日常生活に支障をきたすものを更年期障害と呼びます。

更年期障害の主な原因

 卵胞ホルモン:エストロゲン(いわゆる女性ホルモン)の低下で、これに年齢に伴う体の変化と、精神・心理的な要因、社会文化的な環境因子が複合的に影響することで症状がでると考えられています。

 

症状

 更年期障害の症状は大きく分けて3つに分類されます。
@自律神経失調症状:のぼせ、汗、寒気、冷え症、動悸、胸痛、息苦しさ、疲れやすさ、頭痛、肩こり、めまい など
A精神症状:イライラ・怒りやすい等の情緒不安定、抑うつ気分 など
Bその他の症状:腰痛、関節痛、嘔気・食欲不振、皮膚の乾燥感やかゆみ、尿が近い、外陰部の不快感 など
 多彩な症状がありますが、これらが他の内科的疾患(狭心症、心筋梗塞、甲状腺疾患、脳神経疾患など)、外科的疾患、精神疾患(うつ病など)によるものでないことが条件となります。

 

治療法について

@ホルモン補充療法:HRT

 更年期障害の主な原因が、卵胞ホルモン:エストロゲン(いわゆる女性ホルモン)の減少にあるため、少なくなったホルモンを補う治療法(ホルモン補充療法:HRT)が有効です。子宮のある方は、卵胞ホルモンに黄体ホルモンを投与し、月経があったころのホルモン状態に近づける治療法です。卵胞ホルモン単独では、子宮体癌のリスクが上昇するため、子宮のある方には、黄体ホルモンを投与することで子宮体癌のリスクをほぼゼロにまで減らすことができます。以前、子宮筋腫などで子宮を摘出された方は、卵胞ホルモンのみの投与が選択されます。のぼせ、発汗、ほてりなどの症状に効果があるとされています。卵胞ホルモンには、飲み薬、張り薬、塗り薬などがあり、投与法もいろいろありますので、患者様の状態によって個人に合わせて選んでいきます。
 また、ホルモン補充療法ができない方(肝疾患、乳癌、子宮体癌、原因不明の不正性器出血、血栓症、心筋梗塞の既往、脳卒中の既往など)には、漢方療法などが行われます。ホルモン補充療法中に不正出血、お腹の張り感、嘔気などの症状が現れることがあります。症状が強い時には、医師にご相談ください。長期投与で乳癌のリスクが若干増加することがあるので、定期的な検査を受けながら治療の5年以上の継続については、担当医と相談の上、決めていきましょう。
A漢方療法: 漢方薬は多くの生薬を組み合わせることにより、更年期に見られる女性特有のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。東洋医学では、病は気・血・水の乱れで起こると言われています。三大漢方婦人薬と言われる、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが治療に用いられます。
B向精神薬: 精神的ストレスが中心の場合は、向精神薬が使用されます。抗うつ薬では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が副作用も少なく、効果も十分にみられるため、第一選択薬とされます。抗不安薬では、ベンゾジアゼピン系の薬が主として使用されます。睡眠薬もベンゾジアゼピン系薬剤が用いられることも多いです。

産婦人科医へ相談を

 いずれ、更年期に見られる症状は軽快していきます。ちょうど、更年期はお子さんが独立したり、介護がのしかかってきたりといった時期とも重なりやすいのです。つらい時期はしばらくお薬に頼ってもよいのではないでしょうか?女性の平均寿命が86歳となった今、日本では更年期は人生の半ばです。これまでの人生を振り返り、これからの行く末を思う、とてもいい機会なのかもしれません。是非、私たち産婦人科医にご相談ください。