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健康情報

突然激しい頭痛が起こる〜くも膜下出血〜

平成29年2月1日

利根中央病院 脳神経外科部長

狩野 友昭

 

 ある日突然激しい頭痛に襲われ、治療のかいなく亡くなる、またはひどい後遺症で社会復帰できずに現在も療養しているなど「ついこの間まであんなに元気そうだったのに」と思い浮かべる人は誰にでもいると思います。その恐ろしい病気は「くも膜下出血」です。  

くも膜下出血は死亡率が高く、後遺障害を残す率が極めて高い病気です。突然激しい頭痛が起こった場合は、急いで救急車を呼ぶ対応ができるように、くも膜下出血について知っておきましょう。

脳動脈瘤の破裂が原因

 くも膜下出血の原因は、8割方が脳動脈瘤破裂です。ほとんどの脳動脈瘤は血管の分岐部の構造的に弱い場所に発症する、小さい風船のような瘤です。高血圧で破裂し、くも膜下出血となり、稀に脳内出血を起こします。60才代、女性の方が多く、高血圧、喫煙、多量の飲酒などの関与や、遺伝するわけではありませんが、肉親にくも膜下出血の方がいる場合には発症リスクが高いと言われています。日本全国の統計からすると、利根沼田地域でも年間約20人程度の患者さんがいると思われます。

 

症状 突然の激しい頭痛

 くも膜下出血は脳表面のくも膜下腔に出血が起き、脳や髄膜を刺激して今までに経験したこともないような激しい頭痛、嘔吐で発症します(図)。また動脈瘤が破れた瞬間、脳の圧がきわめて高くなり、脳血流が障害され、一時的に意識を失う場合があります。さらに脳圧が高い状態が続くと脳自体に損傷が加わり昏睡状態。また、くも膜下出血の他に脳実質内に出血を伴うと手足の痺れや言語障害を起こすことも稀ではありません。

出血量の多い重症例では、呼吸障害、危険な不整脈を伴うこともあり突然死の原因になります。

 

     図:くも膜下出血とは

  

                        

                     正  常                   くも膜下出血

 

くも膜下出血は、脳の太い血管にできたこぶが破れて起きる。正常な脳(左)と比べると右は脳脊髄液があったところに出血が広がり、白っぽく色が変わっている。

   

検査と診断

ほとんどの患者さんでくも膜下出血の診断は頭部CTで行われます。脳動脈瘤の検査は場所や大きさを調べるのに造影剤を用いた3DCTアンギオ検査を行います。

 

動脈瘤の治療

 治療は開頭手術による動脈瘤クリッピング術とカテーテルを用いたコイル塞栓術があります。コイル塞栓術の治療数は年々増えていますが、現状では開頭クリッピング術がほとんどです。動脈瘤クリッピング術は動脈瘤の付け根(頸部)をチタン製のクリップで閉鎖する方法です。ほとんどの場合クリップは無害でその場に留置したままにします。いずれの治療でも治療中の動脈瘤からの再出血の危険や治療中の操作に関連して脳梗塞を起こし、言語障害、半身麻痺、痺れなどの知覚障害が出現することもあり治療は困難なものが多いです。また、脳血管攣縮(れんしゅく)といって、くも膜下出血後3〜14日間にのみ起こる脳動脈が細くなり脳梗塞を起こしやすい現象や脳脊髄液過剰状態による水頭症などの合併症への対処も行います。

  

早期発見に脳ドックを

 未然にくも膜下出血を防ぐにはどうしたらよいか?それは脳動脈瘤があるかどうかを脳ドックなどでMRIを使って検査することです。破裂していない脳動脈瘤を未破裂脳動脈瘤と言います。くも膜下出血を専門に治療している脳神経外科の医師たちによる学会で、全国調査をした結果、従来考えられていたよりも動脈瘤の破裂は極めて低いことがわかりました。しかし、大きな動脈瘤は破裂の危険が高く、発生部位でも違いがあり、さらに形が不正になると破裂の危険が高まることが指摘されています。小さな未破裂脳動脈瘤はほとんど破裂しないとは言うものの、個々の患者さんの動脈瘤で危険は異なると考えなければなりません。また高齢になるにしたがって動脈瘤が大型になることも指摘されています。くも膜下出血・動脈瘤の治療に従事していて思うのは、進行した癌に比べたら、こんなちっぽけな脳動脈瘤なんかで命を落とすなんて残念なことだという事です。現在では脳ドックがあります。万が一脳動脈瘤が発見されたら、高血圧の治療を徹底し、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し健康管理を行う必要があります。小型の動脈瘤は特別な部位を除けばほとんど破裂の危険はないと考えられているので、動脈瘤に高血圧というストレスをかけない、動脈瘤を大きくしない、形を不正にしないようにすることでくも膜下出血を未然に予防することができるのです。